ラベンダー

古代エジプトのテーベでは、ラベンダーは城壁をめぐらせた聖なる庭で栽培されました。エジプト人はこのハーブを大変尊んでいたようです。ミイラづくりのための儀式に使う、なめらかで薬効性の高い香油の材料にしていました。このためにラベンダーは生と死を象徴するハーブとして、非常に貴重なものでした。

 墓の中でもよい香りが楽しめるようにと、香料を入れて密封した壷が一緒に埋葬されました。有名なツタンカーメンの墓が発掘されたとき、ラベンダーの香りが墓の中に残っていたそうです。3000年ものときが経過しているとは信じられないほど、強い香りでした。

 古代ギリシャでは、神々への生け贄となる娘たちがラベンダーの花で飾り立てられました。また、ラベンダーの精油は、娼婦が息を香らせるために用いられました。チューダー朝とエリザベス朝の時代(1485-1603年)のイギリスでは、凝ったつくりの装飾庭園のまわりに植えるハーブとして、ラベンダーは人気がありました。

 また、緑の芝生の変わりに、ラベンダーを絨毯のように一面に植えることも流行したといわれます。17世紀のアイルランドのモイラ城は、1エーカー以上もある広大なラベンダー畑があることで有名でした。

 ラベンダーは1月9日の誕生花です。ラベンダーの花言葉は”貞節”。古代の花言葉は”沈黙”でした。

 

ラベンダーは真実の恋人どうしのために存在する(エリザベス朝の叙情詩)

 

恋人たちは、愛情の証としてラベンダーを送りあいました。イギリスのチャーチルズ2世はネル・グィンに求婚するときに、乾燥させたラベンダーを袋に入れて金色のリボンで結んだものを持っていたそうです。

 ラベンダーを、婚礼の衣装に香りを漬ける習慣もあります。アイルランドの花嫁は、幸運のおまじないとして、緑のラベンダーの靴下留めを身につけました。

 

Magical HERBS M・ピクトン著

ラベンダー